多くの学校では、スクールカウンセラー室におもちゃやゲームが置いてあるのではないかと思います。定番は、オセロとUNOでしょうか? 時々、将棋のセットが置いてあることもあります。
ところで、将棋は藤井聡太さんが歴代最年少で八冠を達成し、人気が高まっていますね。藤井聡太さんは、親しみやすい雰囲気がありますね。そういう人柄も人気の秘密だと思います。
将棋は、思考力や集中力が高まることや、粘り強さが養えることから子どもの遊びや習い事としてお勧めだと言われています。スクールカウンセラー室に来室した子どもたちが遊ぶのも良い面が多いと思います。伝統的で知的な活動として認められているので、社会的にも認められやすく、学校の文化とも相性が良いと思います。
ただし、大きな問題があります。それは時間がかかることです。実力に非常に大きな開きがある場合は、10分程度の時間で強い方の圧倒的勝利で終わると思いますが、それでは面白くないと思います。普通に遊ぶ場合は、30分程度は必要だと思います。30分という時間は、今の学校生活の中ではわりとまとまった時間ですね。その時間を子どもが将棋をして過ごすことは、難しいかもしれません。
余談ですが、将棋を通してカウンセリングをしたケースについて報告があります。不登校の高校生とのカウンセリングで、ほとんどの時間は将棋をしていたとのことです。まあ、一種のプレイセラピーとしてとらえられますね。(『カウンセリングの知と心』山下一夫著 日本評論社 1994年)
どうぶつしょうぎ をお勧めします
将棋はスクールカウンセラー室で子どもが遊ぶには、良い面があると書きました。UNOやオセロも一長一短があります。UNOは、子どもが4~5人いれば楽しく遊べますが、SCと子どもの2人では、今ひとつ楽しく遊べません。また、スクールカウンセラー室で子どもが4~5人でUNOをして楽しく遊ぶことは、SCとしては全く悪いことだと思いませんが、学校という場ではただ遊んでいるだけと捉えられてしまう可能性があります。それは少し困ったことだと思います。オセロは2人で遊べますが、以外と時間がかかるのが欠点です。
そういう点で、短い時間でできて、一般的にも認められやすいというゲームがあると助かると思います。実は、どうぶつしょうぎがお勧めです。
どうぶつしょうぎは、将棋を簡略化したゲームで、3×4マスの盤面で4種類の駒で対戦します。可愛いイラストでルールも分かりやすくて、誰にでもできるゲームです。10分ぐらいあれば、1回対戦できると思います。ちょっと遊ぶにはもってこいです。
しかも、奥が深くて大人同士でも十分に楽しめます。2,200円で買えますので、学校にスクールカウンセリングの予算がなくても、どこかの予算から都合をつけて買えるかもしれません。
どうぶつしょうぎは、後手必勝と分かっています
これもまた、余談なのですが、どうぶつしょうぎは後手必勝なのです。先手と後手の両者が最善手を尽くした場合、78手で後手必勝となるということです。
田中哲朗 2009「どうぶつしょうぎ」の完全解析 情報処理学会研究報告 2009年度 (2), 1-8, 2009-08 情報処理学会
この解析結果を元にした、後手必勝を体験できる「どうぶつしょうぎ名人」というサイトがあります。必ず最善手を指してくるコンピュータを相手にして先手で挑むことができます。78手目で詰まされるまで何度でも待ったをして続けることができます。どうぶつしょうぎの練習するにはちょうど良いと思います。
全ての手を覚えてしまえば、人間でも後手必勝になると思うのですが、上記論文によれば2億4600万の局面があるということなので、覚えるのは現実的には不可能だと思われます。