倫理についてのパンフレット

公認心理師や臨床心理士のカウンセラーは倫理事項を理解し、それに基づいてカウンセリングを行うことが求められています。しかし、それだけでは十分ではないかもしれません。一般の方に広くカウンセラーの倫理を知ってもらうことが必要ではないかと思います。

白い用紙

一般の人にカウンセラーの倫理について知ってもらう意義

例えば、カウンセラーは、クライエントさんとは、カウンセラー・クライエント関係以外の関係を持つことはありません。クライエントさんと交際する、友人として一緒に外出するなど行為は、多重関係として、倫理違反となります。

また、カウンセラーには守秘義務が課せられています。勝手にカウンセリングの内容を発表したり他者に漏らしたりすることも倫理違反となります。

しかし、ごく一部のカウンセラーは倫理違反や倫理違反すれすれの行為を行っているようです。クライエントさんたちは、どこかおかしいと感じながらも、カウンセラーを信頼してしまい被害が拡大するという事態も起きています。

一般の方がカウンセリングを利用するときには、カウンセラーが守るべき倫理的な内容を知っていたら早めに気づくことができるかもしれません。そして、深刻な被害になる前に、対処できるかもしれません。そういった意味で、倫理的な要請を私たち心理職が守るだけではなく、一般の方に知ってもらうことは非常に大きな意味があると思います。

ところで、消費者の保護のために色々なパンフレットが作成され、広く配布されています。例えば、訪問販売で商品を購入する際の注意事項をまとめて、注意喚起するようなチラシはよく見かけます。

同じように、クライエント保護のために、カウンセリングを利用する際の注意事項をまとめてチラシやパンフレットを作成し、広く周知することは意味が大きいのではないかと思います。

日本臨床心理士会と日本公認心理師協会が共同で作成してはどうか?

こういったことは、個人の力だけでは実現不可能ですので、公的な機関や組織が作成することが必要です。日本臨床心理士会と日本公認心理師協会が共同で作成したら良いのではないかと思います。

日本臨床心理士会の定款では、会の目的として「臨床心理士の資質と技能の向上を図り、もって人々の心の健康の保持向上に寄与することを目的とする。」と書かれています。また、公益目的事業として、「(1)人々の心の健康に関する普及啓発活動」、「(6)人々の心の健康に関する刊行物などの発行」が挙げられています。

日本公認心理師協会の定款では、法人の目的として、「もって人々の健康と福祉の増進に寄与することを目的とする。」と書かれています。また、その目的を達成するための事業として、第1番目に「心の健康及び諸課題に関する支援の充実及び普及啓発を図る事項」と書かれています。

日本臨床心理士会は日本公認心理師協会の【協力・協賛団体】となっていますので、両団体が協力して、啓発資料を作成していただくの良いのではないかと思います。

スクールカウンセラーが配布するのも一案

多くの人にとって、人生において初めて接触するカウンセラーはスクールカウンセラーだと言われています。スクールカウンセラーが、上記のようなカウンセラーの倫理に関する啓発資料を来談した子どもたちに配布してくれたら、効果的ではないかと思います。

中学生にも分かる啓発資料を作って、各学校に配布してスクールカウンセラーから子どもたちに渡してもらうのが良いと思います。

高校生向けの啓発資料

また、成人年齢が18歳になった関係で、18歳から自分の意志でカウンセリングを利用することもあると考えれます。高校生向けのカウンセラーの倫理に関する啓発資料を作成して、18歳になる前の高校2年生全員に配布するのも良いと思います。心の健康維持の内容と組み合わせて、ちょっとしたパンフレットにしても良いかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました